ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2011.3.10 17:09

「お隣に」の真意

今日(もう日付が変わってしまいましたが)は午前中、千鳥ヶ淵戦没者墓苑へ行ってきました。

ソロモン諸島戦没者遺骨帰還団(政府派遣団)の遺骨引渡式に参列するためです。

今回、政府派遣団がソロモン諸島で収容できたご遺骨は163柱。

彼らの手によって祖国へ帰還することのできたご遺骨は、この千鳥ヶ淵墓苑で厚生労働省の職員へと引き渡されます。

ほとんど知られていない行事ですが、私はできる限り参列し、ご遺骨をお迎えしたいと思っています。

ただ、毎度苦々しく思っていたのが、仮安置台のまわりに置かれた花輪。引渡式では、厚生労働大臣以下、関係者の花輪が並ぶのですが……。当初、私は目を疑いました。トップが厚生労働大臣!? 総理大臣の間違いじゃないのか? 国家のために散っていった命でしょう!?

これについては、小さい記事ながらも週刊誌でコメントしたことがありますが、今回はちゃんと菅総理の花輪がありました。

花輪を出せばいいってものではないけれど、花輪ぐらい出さなくてどうするの、と思っていただけに、ほんの少しだけ心が晴れました。

さて、有本師範のブログを拝見。

まずは私のブログのタイトルに反応してくださってありがとうございます!

ま、しょせんは自称です。おっしゃる通り、いろいろ含みはありますが。

今回の有本さんのブログは、私にエールを送ってくださったものと理解しています。

ただし、「貴方様についていきます」という部分については、私の考えを明確にしておきたいと思います。この道場において、私は「ついていきます」とは一言も言っていません。

「ついていく」のではありません。

「かぶりついていく」のです。


「ついていく」という言葉には、盲目的に従う、つまり自らの主体性を放棄するようなニュアンスがあります。しかしそれでは、私が師範の一人として、また司会として、道場にいる意味などありません。言いたいことは言う。だからこそ私は、あえて「かぶりつく」と書いたのです。

おそらく有本さんは、よもや盲従するつもりじゃないでしょうね、と忠告してくださったのではないかと思います。

もっとも道場が始まった頃は、すべてが手探り状態で、正直イッパイイッパイでした。どういう進行が適切か、あるいは質問者にどう対応するか、正解はどこにもないわけです。「今日はダメだった」「今回は少しマトモにできた」と、全体を見渡して自分で判断するよりほかにありませんでした。一方で「公論形成」という新しい試みにワクワクしていましたが、いずれにせよ、置いていかれないようにすることで精一杯でした。

けれど、小林さんの「覚悟」の一端に触れたとき、「この程度でアタフタしているようじゃダメだ」と痛切に感じました。
……まあ、「遅い!」「今さらかよ」と叱られてしまうかもしれませんけど、そのお叱りは、甘んじて受けたいと思います。

「隣にいる」というのも、お人形さんのように静かにつき従っていくことを意味しているのではありませんよ。また、安穏としていられるから隣にいたいのではありません。そもそも小林さんの隣にいたって、ひと時たりとも安穏としてはいられません。

どれだけダメ出しされようとも、叩き出されようとも、しぶとく隣にいてやるぞ、という私の静かなる覚悟です。

ほかの師範は黒帯ですが、私はまだ白帯の段階だと自分では思っています。もちろん、それだからと言って手加減してくれとか、容赦してネ、などと言うつもりは毛頭ありません。またそれを理由にどこか安全地帯に逃げ込むつもりもありません。ましてや、男だからとか、女だからとか、一切関係ない。黒だろうが白だろうが、帯をしめている者として、これは当然のことでしょう。いえ、実を言うと、私は自分が白帯であるだけ成長の可能性があると密かに思っているのです。

静かなる覚悟(というか野望?)を持ち続けますよ、私は。

武者震いするような男の「隣にいる」とは、そういうことです。

つねに緊張と覚悟を迫られる。その状態が、私には心地いいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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